中九州短期大学の学生募集停止について
2024-03-18
日頃より学校法人八商学園中九州短期大学へのご理解・ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
このたび、学校法人八商学園は、 中九州短期大学の募集停止を令和 7 年度以降停止することを令和 6 年 1 月 26 日の理事会において決定いたしました。
令和6 (2024)年4月入学生が最後の入学となります。
本学は、50年にわたって建学の精神「師弟の和熟による人間形成」に基づく有為の人材育成に努めてまいりました。約6500人の卒業生は、本学で培った能力を発揮し、各方面で大いに活躍しています。
しかしながら、18歳人口の減少や四年制大学志向の高まりなど、近年の社会状況の変化による影響は大きく、 近年は志願者数が激減し、 定員の充足率が低い状況が続いております。今後の本学のあり方について、検討を重ねた結果、最終的に今回の結果にいたりました。
なお、令和 6 (2024) 年度入学生を含むすべての学生が卒業するまでの間は、これまでと同様に学生支援に万全を期す所存です。また、卒業証明書発行等の続きにつきましても、支障が生じないように適切に措置を講じます。 今般の決定につきましても何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
令和 6 年3月18日
学校法人 八商学園
理事長 中川 靜也
中九州短期大学
学長 坂本 哲朗
以上、HPより引用。
1 法人や沿革
学校法人八商学園が運営している。同法人は、1951年、八代商業専修学校として、高校から始まっている。中九州短期大学は1974年に開学し、以来、八代商業高校は2001年に秀岳館高校と校名変更がありつつも、2024年まで高校と短期大学の運営で続いてきている。なお、この法人の秀岳館高校は特に野球部の甲子園出場など、野球選手やサッカー選手を輩出するなど、スポーツに力を入れている。なんとなく聞いたことがあると思ったら、2022年4月にサッカー部の体罰の動画がSNSに掲載されたことで全国的なニュースになっていましたね。思い出しました。
短大1、高校1を運営している。
2 地理
中九州短期大学は、熊本県八代市平山新町4438にあり、国立熊本高専八代キャンパスの隣にある。
肥薩おれんじ鉄道の肥後高田駅から750m、徒歩11分。もしくはJR八代駅からスクールバスで4.2Km、車9分。八代市は、2024年で11万人人口の熊本第2の都市で、新幹線の駅もあるのですが、市内に大学はなく、短期大学もこの中九州短期大学のみで、今回の募集停止によって、大学短大が姿を消すことになる。
3 大学全体のイメージとキャンパスの様子
人口は多い市なのですが、八代駅前はあまり栄えている印象はなく、キャンパスのある肥後高田駅は無人駅で周囲に店舗はなく、行き帰りは便利ではなく、しかしながら自然や野山が多く、自然が豊かで静かな学習環境があるように思いました。海も近いですし、開放的な環境ですね。しかし、キャンパスの校舎は写真でも隠し切れない老朽化が見て取れ、すごく入学したいと今の高校生が思うようなイメージを持たせられないかもしれません。
4 学部学科編成
経営福祉学科(入学定員50名)
幼児保育学科(入学定員50名)※2020年以前は80名
経営福祉学科は、国際・ビジネスコースと介護福祉士コースに分かれ、国際・ビジネスコースは医療事務や事務能力を身につけるコースのようです。介護福祉士コースでは介護福祉士が取得を目指します。両コース25人の卒業生のうち5人が介護福祉士を取得しているので、多くは国際・ビジネスコースに所属しているようです。
幼児保育学科は、保育士と幼稚園教諭二種の取れる典型的な保育の学科ですね。
5 募集停止の経緯(と財務)
2019年→2020年→2021年→2022年→2023年
経営福祉30→47→35→21→25(50.0%)
幼児保育58→47→38→44→34(68.0%)
全体59%
この60%という充足率が一つの指標というのものが今回も該当していました。ちなみに財務では、高校も含めた学校法人では教育活動収支は+706万円で、それ以外を加算した経常収支も+2592万円で、法人としての経営は大丈夫ですが、短大単体では、△6557万円で赤字のようです。一緒に沈まないようにするための措置でしょうね。特に、2022年からは短大の学生が少なくなり学費収入も減って、赤字が拡大していました。高校の悪いイメージのニュースが全国で拡散されてしまったことも関係あるかもしれません。
6 所感
定員60%指標が該当してしまう募集停止でした。韓国の大学との提携をしたり、学長が新しく変わったりした2023年で、なんとか頑張ろうと思ったのだと思いますが、経営的には2024年の入学学生数がわかったこのタイミングでの断念だと思います。八代から高専以外の高等教育がなくなるのは、八代市にとっても痛手ですね。個人的に、校舎の老朽化もあったのではないかと思います。建て直すのとどうするか、赤字が膨らむ前に撤退しようという判断だったのだと思います。令和4年度に創立50周年外装塗装をしていますね。
個人的に、他の私立大学は、HPもパンフレットもきれいに見せようとするのですが、こちらの中九州短期大学はあまりそういった意図を良くも悪くも感じなく、アピール下手とも素朴感をよく感じるとも言えそうです。広報を必要以上に派手にするのは好きではないですが、ここは難しいですね。